★外壁材の種類と特徴
ひと昔前に比べると建物の外壁は様々なデザインのものが増えました。
一戸建て住宅に使われる外壁材の種類は多いものの、市場シェアの70%以上が窯業系サイディングで占められています。
2位がモルタルで13%程度
3位が金属系サイディングで9%程度
タイル、ALCは3%程度となっています。
引用元:プロタイムズ
窯業系サイディング
窯業系サイディングとは、セメントを主原料とした外壁材です。木質繊維とセメントなどを混ぜて薄く成型し、窯で高熱処理をして加工されたものです。そのため熱には強く耐火性が高いといった特徴があります。型に流し込んで成型するのでどんな形にも加工でき、塗料によって色づけされるので塗り替えによって自由に色を変えることができます。また最近のものはインクジェットプリンターで塗装されるものもあり、より精密な色づけができるようになっています。色やデザインのバリエーションが豊富で、タイル調やレンガ調などさまざまなデザインに対応が可能です。また大量生産できるためコストが安く、施工が比較的簡単で職人の技術に左右されず施工期間を短縮することができます。結果として初期費用を安く抑えられ、総合的に優れた外壁材だと言えます。
セメントが主成分であることから水を吸収しやすく、寒い冬には吸収した水分が膨張して外壁を損傷する原因になりますので、塗膜によって防水性能を担保する必要があります。塗膜保証の期間が短いものだと10年程度でメンテナンスが必要になってしまうものがあり、メンテナンスを怠ると外壁材は劣化してしまいます。外壁材の耐久性は保証期間の長さを判断材料にすると良いでしょう。
施工方法は、防湿シートの外側に胴縁と言われる板を取り付け、その上に外壁材を張り付けていきます。外壁材のつなぎ目にシーリング目地が必要になり、特に目地が目立つ外壁材の場合はデザイン性を損なう恐れがあるので注意が必要です。またシーリング材も経年劣化しますので、亀裂が入るなどした場合は適時メンテナンスが必要になります。ただし外壁の目地は地震の揺れを緩衝してくれるといった役目もありますので、一長一短です。
外壁に付着した汚れに対しては、雨水で洗い流してくれるセルフクリーニング機能がついたものがありますので、そちらをおすすめします。
引用元:HARIサイディング
引用元:街の屋根やさん
≪メリット≫
・タイル調や木目調、レンガ調など様々なデザインを選択できる。
・初期費用が安く、コストパフォーマンスが高い。
・施工が簡単で職人の技術に左右させず施工期間が短くなる。
・耐火性や耐震性にある程度優れている
≪デメリット≫
・メンテナンスは必要。
・目地ができる。
・熱が蓄積しやすい。
・素材自体に防水性能はない。
モルタル外壁
モルタル外壁とは、セメントと砂を1:3の割合で混ぜて水を加えて練ったものです。塗り壁材なので継ぎ目のないシームレスな外壁を実現できます。デザイン性には優れますが、目地などの緩衝部分がないので地震などでひび割れが入りやすいといった傾向があります。
施工方法は、防湿シートの外側にラス網と言われる金網を取り付け、その上からモルタルを塗り込んでいきます。仕上がりは職人の技術に左右され、手作業であり施工期間が長くなるため費用が高くなります。
引用元:街の屋根やさん
またモルタル外壁は仕上がりの形状によってリシン仕上げ、スタッコ仕上げ、吹き付けタイル、左官仕上げなどの種類があります。
①リシン仕上げ
砂粒を吹き付ける。細かい粒があり表面がザラザラする。
②スタッコ仕上げ
化粧漆喰を5~10㎜の厚さで吹き付ける。表面はザラザラ。
③吹き付けタイル
タイル材を吹き付けガンで1mm~3mmの厚さで吹き付ける。
表面はツルツル。
④左官仕上げ
ハンドメイドな雰囲気を出すため、コテ跡を残す。
引用元:ちいき新聞の外壁塗装
≪メリット≫
・職人の手によって仕上げる「塗り壁」のため、デザインの自由度が高く、風合い・意匠性のある外壁に仕上げることが可能。
・サイディング壁の目地のような綱ぎ目がない。
≪デメリット≫
・手作業であり乾燥にも時間がかかるので工期が長くなる。
・職人の技術に左右される。
・初期費用、メンテナンスコストが高くなる。
・ヒビ割れ(クラック)が発生しやすい。
・汚れを落とす機能がないので汚れが付きやすい。
・塗装によって表面に防水性を持たせているので、メンテナンスをしないと塗膜が劣化し、水が浸入し、雨漏りや腐食など、様々な劣化症状が発生する。
金属系サイディング
金属系サイディングとは、ステンレス・アルミニウム・ガルバリウム鋼板などの金属から作られた外壁材です。このうちステンレスとアルミニウムは高価なので、一般的にはガルバリウム鋼板から作られたものが普及しています。ガルバリウム鋼板はアルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%の合金を鋼板にメッキ塗装したもので、アルミニウムの長期耐久性と亜鉛の犠牲防食作用及び自己修復作用がバランスよく発揮され、長期にわたり鋼板の錆を防ぎます。表面に施された塗膜の種類によってもグレードがあり、フッ素GL>耐摩カラーGL>カラーGL>素地の順です。また防錆効果を高めるために鋼板にマグネシウムを混ぜたSGLというものもあります。
引用元:街の屋根やさん
金属系サイディングはシーリングの継ぎ目がなく、スタイリッシュなデザインで人気を博しています。ただし初期コストが少し高くなり、窯業系サイディングの約1.3倍と言われています。また金属であるため衝撃に弱く、へこみやすいといった特徴があります。耐久性については窯業系サイディングより少し優れているといった感じでしょうか。そして外壁材としては軽量なので耐震性には有利ですが、防音性には不利です。
金属系サイディングには、スパンドレル、角波、断熱材一体型などの種類があります。値段はスパンドレル>断熱材一体型>角波の順になります。
①スパンドレル
金属板の一方に切り込みがあり、施工時に金属板を重ね合わせて留め付けのビスが目立たないように隠すことができる構造がある。
断熱層がないので防音性、耐衝撃性に劣る。フラットで厚みの薄いものは特に衝撃に弱いので注意が必要。
長尺の製品で1階から2階まで継ぎ目なく施工ができる。
②角波
金属板の施工時に留め付けのビスが見えてしまうので、工場などで使用することが多い。
断熱層がないので防音性、耐衝撃性に劣る。
金属板の幅が大きいので、施工が楽である。
地震などでビス周りに隙間ができると防水性に問題が出る。
③断熱材一体型
ガルバリウム鋼板に断熱材を裏張りして一体になったもの。
スパンドレルや角波に比べて断熱性、防音性、耐衝撃性に優れている。
レンガ調やスタッコ調など色々なデザインがある。
スパンドレル 引用元:アサヒ金属株式会社
角波 引用元:モノタロウ
断熱材一体型 引用元:テイガク
≪メリット≫
・外壁材の繋ぎ目がなく、スタイリッシュなデザインになる。
・窯業系サイディングより若干耐久性が高い。
・軽量なので耐震性には有利。
≪デメリット≫
・窯業系サイディングよりは初期コストが高い。
・金属なのでへこみやすい。
・断熱材がないものは断熱性、防音性が低い。
タイル
外壁タイルは無機質の石や土を約1300℃の高温で焼き固めて成形したものであるため非常に丈夫で、外壁の最大の敵である雨風や紫外線に強く、耐水性・耐久性に優れているのが大きなメリットです。外壁にタイルを使用した場合の建物は約40年の耐用年数があり、メンテナンスの維持管理費が安いと言われています。ただしタイル自体は半永久的に劣化せず耐久性は高いものの窓回りのシーリングやタイルの浮きや目地の剥がれに対してはメンテナンスが必要になる場合があります。また外壁タイルはデザインのバリエーションが豊富で、デザイン性が高く、タイル独特の高級感や重厚感を演出することができます。
一方、他の外壁材と比較するとタイルは初期費用が高く、窯業系サイディングの約2~3倍の費用がかかるとされます。また重量が重いため耐震性には不利であり、住宅の耐荷重設定が必要になります。またタイルとタイルの間の目地はモルタルが使用されており、モルタルは弾力性が低いため地震によってひび割れが入ることがあります。
外壁タイルの施工方法は、下地にベースサイディングを貼り付け、その上からタイルを貼り付けていきます。
またタイルを貼り付ける工法には2種類あり、接着剤を使うものを乾式工法、モルタルを使うものを湿式工法と言います。
引用元:磯貝地域建築設計事務所
引用元:建材ナビ
≪メリット≫
・耐水性、耐久性に優れている。
・継ぎ目がなく、デザインのバリュエーションが豊富である。
・タイル特有の高級感、重厚感がある。
≪デメリット≫
・初期コストがかなり高い。
・タイルは重たいので耐震性には不利である。
・弾力性が低いためひび割れが入ることがある。
以上、住宅の外壁材は窯業系サイディングを使用することが多いようですが、それ以外にも様々な外壁材が存在していますので、それぞれの予算や好みに応じて選択するのが良いのではないでしょうか。
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